今日は清志郎が旅立った日・・・ だから今日は休みをとって、一日中清志郎のコトを想って過ごす。
でも夕方から「忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー 日本武道館 Love & Peace」があるので、
朝からなんだかソワソワ落ち着かない。居ても立っても居られず、11時過ぎには家を出る。
12時半ごろ武道館に到着。グッズ売場のテントには、既に100人ぐらいの行列。
それでもまぁ可愛いもんだ。しばらく並んでいるうちに順番がまわってきた。
パンフレットにポスター、キーホルダーに携帯ストラップ、エコバッグに数々のTシャツ・・・。
どうにかこうにかチョイスして、そのあと発売されたばかりのDVDを2種類購入。
しばらく記念撮影などしていると、会場内からはリハーサルの音が漏れ聴こえてくる。
ポカポカと暖かい晴天の日、しばらくその音に聴き入る・・・ なんて贅沢な午後なんだ。
あまりネタばれになるのもどうかなと思い、北の丸公園をぐるりと探検。
何度も来ている場所だけれど、まだ行ってないところもあったりしてちょっとした発見。
予定より少し遅れて、15時過ぎに開場。みんな嬉しそうな顔をして入場していく。
私はもうしばらくあたりを散策。15時半過ぎに会場入り。
今日はアリーナなので、イヤでもテンションが上がる。
入場時に記念のてぬぐいを受け取り、更にテンションは上げ上げ。
席はアリーナA2ブロック25番。前から4列目という好ポジション。
ステージ向かって左側のかなり端だけど、幸運なことにステージは見切れていない。
館内には清志郎の声が大音響でこだまし、既にライブが始まっているかのよう。
ステージ上には三面の巨大スクリーン、そしてステージサイドには色とりどりの巨大なバルーン。
開演予定時間の16時を過ぎると、清志郎の唄声にあわせて客席から手拍子が沸き起こる。
「ぼくの好きな先生」が唐突に終わると、16時08分、武道館の客電が一斉に落ちる。
「ロックン・ロール・ショー」が流れる中、スクリーンには清志郎の姿が・・・。
オレンジ号にまたがって力強くペダルを踏み、やってきたのは武道館。
あぁ~清志郎、やっぱり来てくれたんだね・・・ ありがとう。
緊張感あふれるバックステージから飛び出して、ステージで叫ぶ清志郎。
「OK! CHABO!!」との声に、CHABOがお馴染みのあのイントロを弾き出す。
いよいよ“ロックン・ロール・ショー”の始まり、オープニングは「雨あがりの夜空に」だ。
“Love&Peace Rock'n'Roll Band”と名付けられた今日のバンドは、
Guitar:仲井戸麗市、Drums:新井田耕造、Bass:藤井 裕、Keyboards:Dr.kyOn、
AltoSax:梅津和時、TenorSax:片山広明、Chorus:Leyonaという豪華メンバー。
その演奏をバックに、斉藤和義、奥田民生、トータス松本、浜崎貴司、高野 寛、宮沢和史、ゆず
といった清志郎のイベントではお馴染みの顔ぶれが、交互にヴォーカルをとりあう。
エンディングでは金色に輝くテープがリボンキャノンから発射され、いきなりフィナーレを迎えたみたい。
もちろんまだライブは始まったばかり、次はCHABOが「激しい雨」を唄う。
CHABOがこの曲をフルコーラスで唄うのは、おそらく今回が初めてだろう。
「RCサクセションが聴こえるー。RCサクセションが流れてるー♪」という歌詞に、
CHABOはどのような思いを込めて唄ったのであろうか?
続いてヴォーカルをとったのはLeyona。いつものように飛びきりセクシーな衣装。
“エロカッコいい”という称号は、Leyonaにこそふさわしいと個人的に思う。
唄ったのは、「Sweet Soul Music」と「ダンスミュージック☆あいつ」。
ハスキーな声でシャウトするその様子は、彼女のオリジナルと言っても良いくらいの迫力。
しかし、次に登場してきたのが金子マリ。ソウルフルなヴォーカルなら負けないわと言わんばかり。
こんな大きな会場でマリちゃんの唄を聴くのは久しぶりだけど、会場の隅々まで響き渡る声。
やっぱり女性ヴォーカルでは、この人の右に出るものはいないんじゃないかな?
「ラッキー・ボーイ」を唄ったあと、Drums:金子ノブアキとBass:KenKenが加わり「MIDNIGHT BLUE」。
「よちよち歩きの頃から知ってんだ」と、嬉しそうに二人を紹介するCHABO。
過去と現在が入り混じったような、なんだかとっても不思議な瞬間だった。
続いて「JUMP」のイントロが始まり、巨大なバルーンがアリーナの客席に向かって投げ入れられる。
その中をアコースティックギターを抱え、いつものひょうひょうとした雰囲気で斉藤和義がステージに登場。
「キヨシローさ~ん・・・まだ替え歌は怒られちゃいますよォ~。ザマぁみやがれ!」と吐き捨て、
これまたフィナーレかと思うようなナンバーの「ドカドカうるさいR&Rバンド」。
次にトータス松本が「心をこめて唄います」と、「すべてはALRIGHT(YA BABY)」を熱唱。
後半ではお客さんもいっしょにシンガロング。武道館全体が声であふれて感動的な場面。
「ただの中学生みたいな気持ち」と自分の今の気持ちを表現し、次に唄ったのが「よそ者」。
CHABOのギターはあの頃と同じ、闇を切り裂くような尖った音色。これはたまらん・・・。
kyOnがメンバー紹介をして、ここでひとまずバンドは退場。
ステージに再びスクリーンが降りてきて、「忌野清志郎ニュース」なるものが流れ出す。
「フジロック最多出演を記念して金メダルが贈られる」という話や、
「“ナニワ・サリバン・ショー”が今秋映画化される」という話に続いて、
清志郎ゆかりのアーティストや芸能人・著名人からのコメントが流される。
2回に分けて上映されたコメントを、思い出せる限り並べてみる・・・。
タモリ、桜井和寿(Mr.Children)、吉井和哉、SMAP、山下久美子、RHYMESTER、Chara、及川光博、
武田真治、志磨遼平(毛皮のマリーズ)、高橋幸宏、三浦友和、黒柳徹子、間 寛平、加藤登紀子、
ワタナベイビー、BEGIN、布袋寅泰、坂本冬美、曽我部恵一、田中和将(GRAPEVINE)、原田芳雄、
佐藤タイジ(THEATRE BROOK)、坂本龍一、PANTA、オノ・ヨーコ、木村充揮、石田長生、鮎川 誠、
あがた森魚、荒木一郎、宮藤官九郎、松尾スズキ、大杉 漣、岩松 了、羽田美智子、オダギリジョー、
清水ミチコ、湯川れい子、松たか子、浅野忠信、爆笑問題、木梨憲武、松金よね子、角田光代、糸井重里、
大竹しのぶ、高橋靖子、箭内道彦(風とロック)、日高正博(スマッシュ代表)、亀渕昭信(ニッポン放送)、
川又米利(中日ドラゴンズ)、松本和也(NHKアナウンサー)、石坂敬一、井上嗣也。
中でも黒柳徹子のコメント「“ラブ・ミー・テンダー”や“サマータイム・ブルース”を
あなたが命がけで唄ってらっしゃったときに、私たちはあなたの気持ちをよくわからなかったような気がします。
あなたにいま本当に会いたいです。あなたがいま居てくださったらと本当に思います」
には泣けた・・・。会場からも大きな拍手が沸く。
そしてアリーナ中央のサブステージにスポットライトがあたり、泉谷しげるが唄い出す。
アコースティックギターをかき鳴らして「雨あがりの夜空に」を唄うも、歌詞を忘れて演奏は中断。
「どうせ後でまた唄うんだろ」と悪態をつき、唄い出したのは「サマータイム・ブルース」。
「原発をお台場に作れ。安全なら一家に一台、小原発を作れ」とアジりまくる泉谷。
そしてギターを放り投げ、スタンドマイクをふりまわして「ラヴ・ミー・テンダー」をアカペラで唄う。
歌詞は若干メチャクチャだったけれど、その気持ちは痛いほどに伝わってきた。
ここからしばらく、サブステージでのアコースティックセットが続く。
“ゆず”は路上時代からのレパートリーだという「金もうけのために生まれたんじゃないぜ」と、
清志郎バージョンの「イマジン」を披露。美しく澄み切ったヴォーカルで唄いあげ、お客さんの評判も上々。
“真心ブラザーズ”は、「ファンからの贈りもの」と「2時間35分」を選曲。
彼らのシニカルな雰囲気が、どちらの曲にもぴったりとマッチしていた。
続いて登場したのは“サンボマスター”。意表をついたアコースティックセットでの演奏。
「トランジスタ・ラジオ」に続いて披露されたのは、「世界中の人に自慢したいよ」。
「岩手県のことや宮城県のことや福島県のことや青森のことや東京のことや、そして君をそして忌野清志郎を
世界中に自慢したいよ」と唄いあげると、会場の空気がエモーショナルな雰囲気に変わっていった。
再びメインステージにスポットライトがあたると、“東京スカパラダイスオーケストラ”がスタンバイ。
うって変わってカラリと乾いたスカBeatに乗せてオリジナル曲「break into the light~約束の帽子~」と、
「危ないふたり」「トランジスタ・ラジオ」を演奏。演奏は良かったけど、曲のカブリがちょっと気になった。
ここでまたサブステージに場所が移り、原田郁子が清志郎との共作「銀河」を演奏。
続いてハナレグミが、独特のアレンジで「多摩蘭坂~君を呼んだのに」を披露。
このあたりで約3時間経過・・・ 場内に若干ダレた雰囲気が漂い始める。
正直言って、センターサブステージは観にくい・・・。だからみんな座ってスクリーンの映像を観ている。
この雰囲気って何かに似ているなと思ったら、「ナニワ・サリバン・ショー」なんだな。
あの時もセンターサブステージが観にくくて、なんとも言えないグダグダ感が漂ったものだ。
そんな空気を変えてくれたのが、次に登場した浜崎貴司+高野 寛のユニット。
キラーチューンの「君が僕を知ってる」と「デイ・ドリーム・ビリーバー」を唄い、場内を盛り上げる。
浜崎貴司の誘導で「アッコちゃーん!」との大声援で迎えられたのは、黄色い衣装に身を包んだ矢野顕子。
エレピの弾き語りで「恩赦」を唄い、「今日は俺が忌野清志郎だ!私が清志郎さんと歌うわ!という気持ちで
一緒に歌ってください」と言って、アッコちゃんと清志郎とのデュエットが懐かしい「ひとつだけ」。
うーん、やっぱりイイな・・・ なんとも言えない空気感があるんだよな。。。
ここで再びメインステージの巨大スクリーンに、「忌野清志郎ニュース」が流れ出す。
竹中直人が独特のキャラクターを演じながら、本日のイベントの記念グッズを紹介。
それから日比谷野音のライブを収録したDVDが発売されるという話と、
記念ライブが開催されるというニュース。
そして「ラッキータイム」と称して、記念グッズすべてをお客さんひとりにプレゼントするという企画。
当たった人はラッキーなんてものじゃないな・・・ 南側1階席に座っていた竹中さんも満足だろう。
続いて再び、清志郎ゆかりのアーティストや芸能人・著名人からのコメント上映。
巨大スクリーンが上にあがると、“Love&Peace Rock'n'Roll Band”がメインステージにスタンバイ。
宮沢和史がヴォーカルをとり、「ぼくの自転車のうしろに乗りなよ」と「うわの空」。
かなりマニアックな選曲だけど、なかなかツボを押さえているなー。
しかし相変わらずミヤは唄がうまい・・・ どんな曲をカバーしても完璧に唄いこなすところはサスガ。
続いてステージに登場したのは、細野晴臣と高野 寛。細野さん登場に、場内がドッとどよめく。
若干弱気なコメントが気がかりだったけど、にぎやかに「幸せハッピー」を唄う。
雰囲気はガラリと一転し、ハードな演奏をバックに登場したのはYUKI。
特に好きではないのだけれど、華やかな雰囲気がなんだかイイなと思った。
「自由」と「不思議」を選んで唄ってしまうというのも、なんともマニアックな香りがしてイイ。
エレキギターを抱えて登場した奥田民生は、まさかの「スローバラード」を熱唱。
奥田民生というとラフなイメージがあるけれど、ひとつひとつの歌詞に思いを込めた渾身の唄声。
今日の演奏の中でもトップを争うベストアクトだったと思う。マジで感動した・・・。
続いて演奏した「チャンスは今夜」も、ハチャメチャな雰囲気がGOOD。
「Check! Check!! Check Tonight!!!」と、武道館が揺れる様子が圧巻だった。
ここでメインステージの巨大スクリーンには、「忌野清志郎 世界旅日記」として
海外ミュージシャンとの活動や海外でのレコーディング・ライブを振り返る映像が流される。
清志郎が共演したIan Dury & The Blockheads、Wilko Johnson、Steve Cropper、Sam Moore、
そして憧れのOtis Redding。清志郎が唄う「オーティスが教えてくれた」を聴いて、涙ぐむSteve Cropper。
本当はSteve Cropperも、今日このステージに立っていたはず。
来日がキャンセルになってしまって残念・・・。
「清志郎の唄は、いつでも新しい旅に連れていってくれる」というシメの言葉が印象的だった。
再び巨大スクリーンが上にあがると、メインステージ中央にはこれまでと違うバンドセット。
そしてステージ上にはヒロトとマーシー、“ザ・クロマニヨンズ”の登場だ。
とってもハードなアレンジで「ROCK ME BABY」「ベイビー!逃げるんだ。」を立て続けに演奏。
続いてまさかの「いい事ばかりはありゃしない」。ヒロトが唄うBlues、とってもカッコよかった。
ヒロトは「いよいよこの後、忌野清志郎の登場だ!」と言い残し、ステージを去っていった。
「忌野清志郎の登場」って?と思っていると、巨大スクリーンに「よォーこそ」のイントロが・・・。
1981年12月24日、“RCサクセション”初の武道館ライブの映像「RC SUCCESSION AT BUDOHKAN」だ。
あのときの自分が武道館のどこかでいっしょに観ているようで、なんだか不思議な感じがした。
そのあと「THE KING OF LIVE」から「ドカドカうるさいR&Rバンド」、
「Family Stone Tour」未発表映像から「可愛いリズム」「エンジェル」「上を向いて歩こう」、
「完全復活祭」から「JUMP」「いい事ばかりはありゃしない」と続く。。。
企画としては「清志郎のライブをバーチャル体験して」ということなのだろうが、
長時間のライブの末のこの演出にお客さんはちょっと乗り切れなかったという感じ。
武道館ライブの映像にはそりゃぁ思うところあったけど、ちょっと長すぎたかな・・・。
清志郎が「武道館ベイベー! も、も、もうイッパツいくかい?」と叫ぶと、
メインステージにスタンバイした“Love&Peace Rock'n'Roll Band”が「ジャァァーン!」と音を出す。
そして始まったのは「ブン・ブン・ブン」。CHABOと金子マリが交互にヴォーカルをとる。
最後に斉藤和義・奥田民生・トータス松本が加わり、お客さん全員で「OK! CHABO!」と叫んでから
もう一度「雨あがりの夜空に」。金色の紙片がステージから客席に向かっていっせいに噴射される。
「My Boyfriend、Our Boyfriend、Great Sweet Soul 忌野清志郎!」と最後にCHABOが叫び、
全員並んでお辞儀をしてからメンバーはステージを去っていった。
ステージに再び巨大スクリーンが降りてきて、清志郎が「毎日がブランニューデイ」を唄う。
映し出される歌詞にあわせて、お客さんも思い思いにみんな口ずさんでいる。
「ロックン・ロール・ショー」が流れる中、エンドロールがスクリーンに映し出され、ライブはすべて終了。
時間は21時55分過ぎ・・・ 実に6時間近くやっていたわけだ。
途中で若干グダグダしたところもあったけど、なかなか充実したライブだったな。
CHABOの唄、Leyonaの唄、マリちゃんの唄、トータスの唄、泉谷のうた、“ゆず”の唄、
“サンボマスター”の唄、アッコちゃんの唄、YUKIの唄、民生の唄、ヒロトの唄、
そして黒柳徹子のコメント・・・ ベストアクトがいくつもあった。
だけど、そこには忌野清志郎という存在の大きさがはっきりと残った。
ここにいないことを嘆くのではなく、ここに居ることを意識した瞬間だった。
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