清志郎を読む「忌野地図」大内幹男 / 岡田貴之
不定期気まぐれ連載「清志郎を読む」。
十二冊目の今回は、大内幹男 / 岡田貴之「忌野地図」。
この本が出版されたのは、2008年の2月。
2008年2月といえば、清志郎が日本武道館で完全復活祭を行った時期だ。
そういう意味では、清志郎が旅立つ前に出版された最後の本ということになる。
内容は「LuckyRaccoon」という雑誌に創刊~25号まで4年あまりにわたって連載された
「忌野地図」全25回を、加筆・修正のうえ単行本としてまとめたもの。
カメラマンの岡田貴之とラジオディレクターの大内幹男が、「あふれる熱い涙」から
「トランジスタ・ラジオ」までの25曲をテーマに、写真と文を持ち寄って構成している。
その内容は清志郎の曲とはまったく関係なかったり、微妙にシンクロしていたり、
どっぷりと歌詞の意味に踏み込んでいたり、いろいろなアプローチがある。
そういう意味では「本当に清志郎本なの?」という疑問を抱くかもしれないけれど、
そこはオビに書かれた清志郎自筆のコメントがすべてを解決してくれる。
「ひとのフンドシですもうをとるとはこの事かっ!! だが、いいすもうである。」
単なる唄の解説や評論など、誰にでも出来るけどそれは何の意味も持たない。
清志郎の唄をモチーフに、それぞれの経験や想いを綴っていくことに意味があり、
唄の中に自分を見つけ出して、それを表現していくことが重要なのだ。
この本にはそんな想いが充満していて、とっても素敵な気分にさせられる。
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