二日前、映画「PERFECT DAYS」を配信で観ました。
その時は「観た」という事だけをシェアして、感想は書きませんでした。理由は後で書きます。
この映画は2023年の作品。監督のヴィム・ヴェンダースは雑誌「宝島」で知って、
「ベルリン・天使の詩」は映画館で観た記憶があります。ずいぶん前なので、内容は覚えていません(汗)
今回観ようと思ったのは、先日友達と話していて「この映画を観て、人生観が変わった」と言っていたからです。
映画を観た感想なんて人それぞれだとは思うけど、親しい友達が言っている事は気になるじゃないですか。
そうは言っても、どこで配信しているか調べて、観るための手続きをして、2時間を超える時間を作って・・・
面倒くさいなと思うところはありました。でも、最近「面倒くさい事もとりあえずやろう!」と思うようにしているんです。
もともと仲間内では、ウルフルケイスケの「迷ったら、やる!」が合言葉のようになっているんですね。
先のことなんてわからないのだから、「やりたい事はやる」「会いたい人には会う」という意味なんですけど、
僕は拡大解釈して「面倒だと思う事はとっととやってしまおう」という風に思うようにしています。
少し前にテレビで「面倒くさいと思うのは、心でなくて脳だ=脳が面倒くさがりなんだ」というのをやっていて、
「確かにそうかもなぁ~。面倒くさいとあれこれ考える前にやってしまおう」と思い直したのです。
部屋の片付けも、いろいろな手続きも、メールの返信も、面倒くさいんですよ・・・正直なところ。
だけどそう考え始めると、どんどん面倒くさくなって、しまいにはやらない・・・よくありますよね。
だからやるべき事はアレコレ考えず行動に移す。そうしてみたら、モヤモヤと考えずに済んでかなりスッキリ。
前置きが長くなりました(笑) ここから映画の感想です。
2023年の作品なのでネタバレも何もないとは思いますが、そういう内容になりますのでご容赦ください。
尚、口調・語尾が変わるのは意図的です。この方が正直な気持ちが書けるかなと。
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ストーリーは一言で言うと「何も起きない」。トイレ清掃員の主人公(役所広司)の日常を描いた作品。
朝、決まった時間に起きて、仕事であるトイレ掃除を一生懸命やって、ランチを神社のベンチで食べて、
カセットテープで音楽を聴いて、銭湯に行って、ちょっとだけ呑んで、本を読みながら寝る。
翌日はまたその繰り返し。そしてその翌日も。そしてまたその翌日も・・・。
もちろん、ちょっとした出来事は起こる。いい加減な後輩にお金を無心されたり、
家出した姪っ子が突然訪ねてきたり、スナックのママといい関係になりそうだったり。
だけどそれはあくまでも日常の中のちょっとした出来事。大事件は起きない。
主人公は基本的に喋らない。それは性格的なものなのか? 過去の何かがそうさせているのか?
映画の中ではそういう説明や伏線はほとんど無い。映し出されるのは何も起きない日常。
自分で観たままに感じるしかない。この映画を教えてくれた友達が「ながら見はしない方がいい」と
言っていた意味がわかった。確かに何かをしながら観たら、おそらく環境ビデオにしかならないだろう。
だから部屋の電気を消して集中して観た。寝落ちする可能性はあったけど、それは大丈夫だった(笑)
主人公は自分の仕事のトイレ掃除を、文句も言わずに一生懸命に丁寧に完璧にやる。
後輩から「どうせ汚れるんですから、そんなにやっても仕方ないですよ」と言われつつ。
トイレ掃除だから、掃除している途中で利用する人がいる。そんな時、主人公は外で待つ。
その間、微笑んでいる主人公。下手をすると怪しい人と思われてしまうような感じ。
最初は「使ってくれてありがとう」なのかなと思ったけど、そうではないような。
「仕事の手を止めやがって。でも仕方ないよね」という、現実を受け止める気持ちなのかなと。
主人公は音楽を好きみたい。カセットテープだけで聴くのはこだわりなのか何なのか?
そのあたりの説明もない。聴くのはパティ・スミスやルー・リード、ヴァン・モリスンにオーティス。
昔からずっと聴いているのかな。カセットテープで聴いているのは、その頃からそうだっただけなのかも。
僕の趣味と一致しているところも良かったけど、自分と音楽との関係性が似ていると思った。
音楽をじっくり聴く、音楽に癒されるというより、音楽が常にそこにある。一緒に暮らしているという感覚。
CHABOが「音楽がなかったら、自分はどうなっていただろう」と言うが、まさにそう思う。僕はどうなっていただろう?
主人公が車を運転しながら、笑ったり泣いたり、笑ったり泣いたり・・・する最後のシーン。
映画評を見ると、このシーンの意味を考えるようなものが多いけど、僕は・・・。
「笑ったり泣いたりすること自体には、それほど意味が無い」というのを表しているのかなと感じた。
笑ったり泣いたりするのも、それは平凡な日常の1ページ。変に引きずらず、ひとつひとつに向き合っていく。
おそらく主人公はそうやって生きてきたのだと思うけど、ふと「それで良かったのか?」という思いが、
この笑ったり泣いたりするシーンに描かれていたのではないかと僕は思った。
あと、ストーリーとは関係ないけど、この映画に出てくるトイレは渋谷区にある。
いくつかは僕も利用したことがあるトイレ。今後も使う時には、この映画の事を思い出すんだろうな。
ランチを食べる神社は代々木八幡宮。こちらもいつもお世話になっている神社。思いがひとつ増えた。
正直言ってロケ地巡りとかあまり興味は無いんだけど、知っている場所が映っているのは嬉しいもの。
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長くなりましたが、感想はココまでです。ココから口調・語尾を元に戻します。
そして最後に、冒頭に書いた「感想をすぐに書かなかった」理由を書きます。
この映画を観て、友達が言うように「人生観が変わった」かというと、変わらなかったんですよね。
別に紹介してくれた友達に悪いとかというわけではなく、自分の感性ってどうなのかな?
作品の見方がまだまだ足りないのかな? と思ったからです。僕、大丈夫???
だけど気づいたんですね。もともと「僕の人生観はこうだった!」という事に。
「もともと」と言うより、この数年で変わった人生観と言うのが正しいかもしれません。
今年、僕は還暦を迎えるんです。この先どうしようか?と嫌でも考えるじゃないですか。
生活のこと、身体のこと、仕事のこと、家族のこと、友達のこと・・・いろいろとね。
そんな中で、「先のことばかり考えても仕方が無い。一日一日を大切にしよう」と思ったのです。
むかし清志郎が「今日と明日と明後日のことぐらいを考えていればイイんだよ」と言っていて、
そうだな!と思いつつ、そうは言ってもなぁ~と思っていました。清志郎の言うことが全て正しいとは思っていないし。
だけど、その言葉がじわじわと沁みてきたんですねぇ~。特にこの数年。。。
人間、いつ死ぬか? 先のことなんで誰もわからないじゃないですか。
だったら日々を大切に、今日と明日と明後日のことぐらいを考えて生きていこうと思っています。
人生なんかで悩まない。のんびり釣り糸垂れてる~♪(by 麗蘭)・・・ってな。
それが僕の「PERFECT DAYS」・・・そんな事を思った映画でした。
本当に長くなりました。
居るかどうかわからないですけど、ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。
こんど会った時にでも、この映画について語り合えたら嬉しいです。
本当に最後、この映画を紹介してくれた友達のK! ありがとね。
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